平素より、災害医療とその普及・発展へのご理解と御協力を賜り心より感謝申し上げます。このたび、第13回日本災害医療薬剤師学会学術大会を、2026年2月21日(土)、22日(日)の2日間の会期にて、東京都渋谷区広尾(日本赤十字看護大学)を会場として開催させて頂く運びとなり、ご挨拶申し上げます。
本大会では 「地域から世界へ-薬剤師がつなぐ薬と希望」 をテーマに掲げ、薬剤師が国内外での災害医療の現場で果たすべき役割と、そのさらなる可能性について議論を深めたいと考えております。日本国内での災害対応事例に加え、世界各地での災害や紛争地域での医療支援に携わる薬剤師の取り組みにも焦点を当てます。それにより地域から世界へと視野を広げ、薬剤師としての挑戦と役割の幅を探求するとともに、被災地医療におけるさらなる発展に寄与することを目指します。近年、世界各地で頻発する複合災害により、医療現場には迅速かつ正確な対応が求められています。薬剤師は、地域医療に関わるジェネラリストとして被災者一人ひとりに寄り添い、適切な医薬品管理や供給に従事するだけでなく、公衆衛生の視点、また医療物資全般の保管環境や物流全体への配慮も含めたメディカル・ロジスティクスの担い手としても重要な役割を果たしています。また、災害を経験するたびに新たな課題を提起し、それに呼応すべく地域に根差した災害対応力の強化と国際的な視野に立った連携や協力が不可欠といえます。今こそ、我々日本の薬剤師の災害対応経験に基づく英知と技術を糧にして、世界の災害対応能力の向上にも貢献する一端となる契機にもなればと願います。多くの方々にとって知識を深め、新たなネットワーク構築の場となり、貴重な交流を深められる瞬間を共にできますことを心待ちにしております。
私ども日本災害医療薬剤師学会は、2006年4月の設立以来、災害医療分野における薬剤師の専門学会として世界的にも稀有な存在といえます。災害薬事・災害薬学分野での教育研修と研究を通じた学術基盤の構築と、平時からの情報共有を通じた多組織・多業種との連携体制の構築を目指し、薬剤師の地域社会への貢献の質向上と災害薬事・災害薬学のさらなる発展に精進しております。
本大会が、これまでの歩みを振り返りつつ、未来の災害医療薬学のあり方を展望する機会となれば幸いです。多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
第13回 日本災害医療薬剤師学会 学術大会
大会長 小林 映子
(日本赤十字社医療センター 薬剤部・国際医療救援部)