この度、日本災害医療薬剤師学会の会長を務めさせていただくことになりました。
もとより微力ではございますが、本学会の更なる発展のために尽力いたしますので、宜しくお願い申し上げます。
日本災害医療薬剤師学会は、災害医療現場における薬剤師業務の学問的な基盤を支える災害医療薬学分野の確立・充実の必要性と、系統だった災害医療薬学教育の確立に向けた教育を背景に、2006年4月に設立したしました。日本は世界でも災害大国と言われるように1995年1月の阪神淡路大震災以後、地震の頻発化・激甚化が続いており、新潟県中越地震や東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震は記憶に新しいところです。さらには地震災害のみならず、西日本豪雨災害や九州豪雨災害などの風水害、土砂災害による災害も大きく、被災状況は日々変化し、その対応も進化してきております。海外では2004年12月に発生したインド洋スマトラ沖地震大津波災害では28万人以上が死亡し、続く、パキスタン地震災害、ネパール地震災害、モザンビーク洪水災害なども非常に大きな被害があり多くの犠牲者を出しました。そのような中、災害対応や防災の考え方も変化し、我々薬剤師の役割も大きく変わりつつあり、災害時の医薬品の供給体制の確立や公衆衛生活動において、薬剤師はなくてはならない存在となっております。
災害時の薬事関連業務の専門家として薬剤師の職能を発揮することは被災社会への大きな貢献となります。当学会は、被災者に対し健康危機管理の面で支援する活動を行うこと、また、災害医療に関する教育や情報発信を推進していくことを目的とします。日本災害医療薬剤師学会が社会的に責任のある学術団体として、災害医療薬学分野の研究、災害対応するための研修、教育の確立を行い、災害時に必要な情報を効果的に収集できるようなポータルサイトなどを充実させ、積極的な情報発信を行い、社会的貢献を行うことができたらと考えます。災害医療は地域医療の一部を構成することから多機関、多職種の連携が重要であり、多くの連携を構築していく必要があり、これに取り組んでいきます。
最後になりましたが、魅力ある学会として更に大きく発展できるよう、会員の皆様と共に邁進していく所存でございます。一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。
会長 渡邉暁洋