本日は日本災害医療薬剤師学会設立記念日です。
本学会は、2006年4月23日、設立総会を開催し正式に設立しました。あれから16年の歳月が経過したことになります。本学会の沿革に就きましては節目の15周年である昨年に記載させて戴きましたので詳細については省きますが、新規入会者が徐々にですが増加しておりますので黎明期を御存知でない方も多くなってきましたので設立発起人として伝承して戴きたいと思います。
2004年に発生した新潟県中越地震とインド洋スマトラ地震大津波の医療救援活動に参加した薬剤師が、翌年広島県で開催された第38回日本薬剤師会学術大会のシンポジウムにおいて災害時の活動内容について討議し、さらに2週間後に新潟県長岡市で開かれた新潟県薬剤師会主催の新潟県中越地震1周年シンポジウムで活動を振り返りました。その際、災害医療の普及と啓発のための団体設立の構想を発表しました。学会設立に向けて準備を開始し、発起人として多田治、西澤健司、増田道雄、村野宏守、山岸美恵子、渡邉暁洋、賛同者として加藤あゆみ、東麻美子、松井映子、高橋一行が中心に設立に漕ぎ付きました。その後、能登半島地震、新潟県中越沖地震、岩手宮城内陸地震が発生し、本学会員が現地に入り医療救援活動に参加したため、業界紙から取材を受け、記事として掲載されるようになり、災害医療において薬剤師にも活動の場がある事が徐々に理解されるようになりました。2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では、本学会が10名程度の規模で先遣隊を編成し現地に入り、被害情報の収集ならびに発信をした事により、会員はもとより災害医療に関心を持つ薬剤師にも情報を共有する事ができました。また、初期に於いては本学会のHPからの情報が災害対応の一助として活用されていたそうです。2012年3月11日には、本学会主催で東北薬科大学(現東北医科薬科大学)を会場に復興祈念研修会を開催して震災当時の活動についての検証や反省の場と致しました。
その後、研修の形式や内容の充実を図り、会員も増加し学会らしく順調に経過してきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により研修会や学術大会の開催中止や延期をせざるを得ない状態となりました。しかし、昨年7月には和泉邦彦大会長を始めとする新潟県の会員のご尽力により、原則リモートでしたが第9回学術大会を開催し、盛会のうちに終了することができました。現在もコロナウイルス感染症は一進一退が続いておりますが、対面による学術大会、シンポジウム、研修会の開催が一日も早く訪れる事を祈っております。
設立以来、中心となって活動して戴いた西澤健司会長、増田道雄、山岸美恵子両副会長が退任され、渡邉暁洋氏が2代目会長に就任し、役員も一部若返りました。これまでの経験を生かし、学会の活動を活発化させることで、人ならびに組織の結びつきを強くし、本学会が我が国の災害薬学の発展のために寄与することを願います。
2022年4月23日
多田 治