東日本大震災から7周年が経過しましたが故郷へ戻れない被災者がまだまだおられます。
原発事故による放射線量が下がってきたとは言うものの、子どもへの影響を考えると帰郷に踏み切れない親御さんもおられる事でしょう。

さて、震災の前後で災害に対する言葉が変わっているのにお気付きでしょうか。
震災前は「防災」が多く使われていましたが、震災後は自然災害を防ぐ事が不可能である事に気付いたのか「減災」という言葉をよく耳にします。しかし、この「減災」は本学会のホームページの設立趣旨に掲載されています。
今から12年前の事です。厳密に言うと2004年の新潟県中越地震の直前2日前に、現名誉会員の村野氏と私が当時の杉並区防災課長との懇談の席で、自然相手に防災は不可能なので減災を目指すべきだと述べ合いました。それが学会設立の趣旨にも記載されています。

社会的には本学会の存在はあまり知られていませんが、何事に於いても先駆者であります。
東日本大震災の折にも、本学会の精鋭が真っ先駆けて被災地へ赴きました。それ以外の天災にも学会員は被災地で活動しています。

薬剤師に特化した研修の提供も、当会は早くから着手して参りました。カリキュラム終了後は災害医療支援薬剤師として登録出来ます。
しかし研修参加はそのような受講の証を得ることが目的ではなく、あくまでも被災者支援のための自身のレベルアップのためである事を常に忘れず、
これからも精進を重ねていきたいと思っております。

私達の研鑚が犠牲に成られた方々への御供養になりますよう。

合掌

日本災害医療薬剤師学会
副会長 多田治